
『憤怒』Fury
訳:三川基好
新潮文庫
平成21年6月6日読了
まず最初に断言してしまうと裏表紙にある「推測不能、純度100%の時限爆弾サスペンス」ってのは大嘘です。
巷を恐怖のドン底に叩き込んだ連続レイプ殺人事件で死刑判決を受けた悪党は無罪ではないか?冤罪を確信した主人公は真犯人を探し始めるが、死刑執行まで残された時間は僅か6日だった…と言うのが始まりですが、残念ながら先は読めます。
裏表紙も余計なコトを書き過ぎているのですが、なにより読者に考える余裕を与え過ぎており仕舞には判ったから早く先を言えよ!と作者に一発かましたくなりました。
このテンポの悪さは致命的で、仮に先が判っても楽しめる可能性は有る筈なのにソレすら放棄した形になっています(僕は作者と知恵比べを喜ぶタイプの読者ではないのですが、それでも判ってしまった)。
残り時間が刻々と減って行くコトに対する緊迫感が皆無に感じられるんですよ。
また人物描写が不足していてイマイチ登場人物の顔が見えてきません。特に主人公について某俳優に似ている…だけじゃねぇ?例え他の登場人物の印象とはいえ作者が他に書いていなければ決定的であり、以降主人公がその俳優のイメージから外れる言動をする度に違和感を覚えるんですよね。
また主人公の過去について凄く雑に触れていますが、コレってシリーズが進んでからならば許されるのでしょうが、1作目からやられるとチョイとなぁ?
飽きさせないだけマシと言ってはキツ過ぎかしらん。