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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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ジェイムズ・パタースンJames Patterson『キス・ザ・ガールズ』Kiss the Girls


『キス・ザ・ガールズ』Kiss the Girls
訳:小林宏明
新潮文庫
平成21年7月5日読了
本作では前作と異なり心理学の博士号は余り活躍しません…というか、ソレどころじゃない設定なんですがね。評価は別れるところでしょうが、個人的には本作の方がスッキリしていて好みでした。
作者が用意した謎解きに挑戦する方々にはヒントが少ない、または適切ではないとご不満も有りましょうが、与えられた餌を食べるだけの僕には丁度良いテンポでした。終盤での“顔”の見せ方も小説ならではの描写で、ゾクゾクしましたし。
ただ主人公に判らないコトはそのマンマ書きません…ってのは巧いと言うよりズルい、かな?
ちなみに『多重人格…』の続編と言うより、第2話みたいな感じです。未読でもまるで困らないようにはなっていますが、前作の登場人物がチラリと名前だけ出て来るのはチョイとね。
ただ妻の死因が違うのはわざとかしらん?
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マシュー・パールMathew Pearl『ポー・シャドウ』全二冊ThePoeShadow


『ポー・シャドウ』全二冊ThePoeShadow
訳:鈴木恵
新潮文庫
平成22年2月16日読了
読み終えてみれば、または粗筋だけならばそこそこの作品ではあります。僕には読み終えるのにかなりの忍耐力を必要でしたが。
版元によればアメリカ文学史上最大の謎であるエドガー・アラン・ポーの人生に於ける空白に肉迫する…んだそうです。また本作はそれだけではなくポーの作品に登場する名探偵デュパンのモデル探しも含まれており、興味の有る方には一粒で二度美味しい作品になっています(作者の結論または主張には説得力が有るように思われます)。
更に言うともっと大きな仕掛けも有りますし、一方で様々な愛の物語も描かれているという贅沢な造りです。
ただねぇ…捌き方がドの付く下手っぷりで、読んでいて苦痛な程です。舞台なら野次り倒されて当然かとも。
根本的な問題点としては作者の文才の無さが挙げられます。読んでいて情景が浮かばず、道案内に例えるなら行き先どころか現在地すら満足に説明出来ない。
加えて作品全体の構成が悲惨で読み辛いことこの上ない。
娯楽的要素が邪魔でならず、本来の出発点であろうポーの謎解きがオマケ(敢えて言えば蛇足)になってしまっています。
せめて謎解きの短編とフィクションの長編との二部構成にでもすれば良かったのに?更に言うと仕上げは本職に任せる分別が欲しかった。
出来ないのが素人の浅ましさなんでしょうが。

マシュー・パールMathew Pearl『ダンテ・クラブ』The Dante Club


『ダンテ・クラブ』The Dante Club
訳:鈴木恵
新潮文庫
平成21年12月4日読了
略歴によると著者は「ハーバード大学英米文学科を首席で卒業」し、「アメリカ・ダンテ協会から“ダンテ賞”を授けられ」た程の人なのだそうですが、小説に関しては左程得意とは思えませんでした。特にミステリーとしては。こんなコトを言うと通を気取ったマニアと思われそうですが、このジャンルに対する思い入れはそれ程では有りません。
で、本書なのですが確かにダンテの『神曲』を知らなくても問題は有りません。登場人物の口を借りて、適当に解釈を紹介してくれるので。むしろ本書を読了後にダンテを読みたくなるというのも、その通りでした。その辺りはさすがに研究者だけあり、初心者向けに心を砕いているなとは思います。
ただ、主人公以下の登場人物については別のようで、歴史上に自在したか否かは別にしてほとんど紹介してくれていません。更に言えば南北戦争終結間もないボストンの情景をもっと描き込んだ方が良いのではないかとも。
結局のところ自分が学んだ知識を生かしてミステリーが書きたかったのか、小説形式で自分の研究をまとめてみたく思い味付けとして
ミステリーの要素を入れたのか判然としません。
一言でいえば“勿体無い”ですかね。

ハーディ Thomas Hardy『テス』Tess of the D'Urbervilles


『テス』Tess of the D'Urbervilles
訳:井上宗次・石田英二
岩波文庫
平成19年2月22日読了
ヒロインの周囲の状況には怒りと絶望を禁じえない。時代も有るのでしょうが、彼の国での“罪”とはなんぞや?と腹が立つ。
こんな反応をしてしまうのは作者の上手さでしょう、丁寧に書き込んで有るのでどうしても小説の世界に入り込んでしまいました。
展開には過不足無く、必要な場面は描きこむ一方ドギツくなりそうな場面は上手く省略しています。ただ書き込まれていない部分を膨らませれば別のタイプの作品として読めるのではないでしょうか。
例えばヒロインのテスを弄び、更には弱みに付け込んで愛人にしようとしたアレクは本当は遊び相手としての女性しか知らない寂しいヤツだったのではないか?
またテスの過去を知り一度は絶望的な気分になり逃げてしまうエンジェルの行動も、単に器の小さい男ではなく、女性経験の少なさから来る劣等感の表れではないか?
もし自分が創作する側に立つとしたら、と考えても楽しめます。
それにしても上巻の「訳者あとがき」で下巻の粗筋を全て書いてしまうのはイカガナモノカ?
【関連作品】
『テス』監督ロマン・ポランスキー:1979年/フランス・イギリス

半村良『どぶどろ』


『どぶどろ』
扶桑社 昭和ミステリ秘宝
平成22年1月16日読了
本書は表題作である長編「どぶどろ」の前に短編が7作収録されており、この短編の登場人物たちが「どぶどろ」で一つの流れに纏まって行くのが面白いところの一つ…と言いたいのですが、ちょいとやり過ぎに思えます。中には無理して殺されちゃってる人も居るし?
序章とでも言うべき短編集の部分は面白いんですけどね。
山本周五郎や山手樹一郎、また藤沢周平らと違い、江戸時代を描いているのに妙に現代的というか、不思議な緊張感が有ります。長いセリフ回しが有るからか?などとも考えましたが、僕ごときには説明しきれません。前述の作家たちが日本画で描いているのをこの作品集は油彩で描いているようだとでも言いましょうか。
もちろん嫌いではなく、むしろ新鮮さを感じつつ楽しく読みました。
ただその分「どぶどろ」がなぁと残念でなりません。序盤にもっとゆっくりと登場人物を描き込んで欲しかったし、なにより説明的な部分が多くて読み辛いというのが正直な感想です。終わり方自体は嫌いではないのですが、その前がね。

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