
『誘拐』
ちくま文庫
平成24年7月3日読了
面白さに驚いた、久々に徹夜をしてしまったくらいです。
事件そのものの劇的な解決は知られているかと思いますが、他に捜査の散らかりぶりなどがジリジリと迫ります。多少の土地勘も有る(つもりな)ので余計にですが。
また構成も見事で、事件の発端やそれ以前を描いている賞の次にいきなり関係者の証言が出て来るなどは斬新かつ劇的。更に真相を最後にサラリと触れただけなのもどぎつくなくて良く、センセーショナルな刺激でごまかしていない姿勢が下品にならずに済んでいます。
ただ違和感を覚えた点も幾つか。
まず犯人が獄中から参加した短歌結社の代表がその改悛の情を伝え死刑に異議を唱えたと紹介していますが、被害者と同じ年頃の子供が居る身としてはふざけるなと腹が立つ。コレなどは取材の“し過ぎ”によるストックホルム症候群の一種ではないか?
また警察発表に引きずられた新聞についても批判が足りないのではないかしらん。まぁ著者も元々が新聞記者だから多少の言い訳は仕方有りますまいが。