
『テス』Tess of the D'Urbervilles
訳:井上宗次・石田英二
岩波文庫
平成19年2月22日読了
ヒロインの周囲の状況には怒りと絶望を禁じえない。時代も有るのでしょうが、彼の国での“罪”とはなんぞや?と腹が立つ。
こんな反応をしてしまうのは作者の上手さでしょう、丁寧に書き込んで有るのでどうしても小説の世界に入り込んでしまいました。
展開には過不足無く、必要な場面は描きこむ一方ドギツくなりそうな場面は上手く省略しています。ただ書き込まれていない部分を膨らませれば別のタイプの作品として読めるのではないでしょうか。
例えばヒロインのテスを弄び、更には弱みに付け込んで愛人にしようとしたアレクは本当は遊び相手としての女性しか知らない寂しいヤツだったのではないか?
またテスの過去を知り一度は絶望的な気分になり逃げてしまうエンジェルの行動も、単に器の小さい男ではなく、女性経験の少なさから来る劣等感の表れではないか?
もし自分が創作する側に立つとしたら、と考えても楽しめます。
それにしても上巻の「訳者あとがき」で下巻の粗筋を全て書いてしまうのはイカガナモノカ?
【関連作品】
『テス』監督ロマン・ポランスキー:1979年/フランス・イギリス
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