
『どぶどろ』
扶桑社 昭和ミステリ秘宝
平成22年1月16日読了
本書は表題作である長編「どぶどろ」の前に短編が7作収録されており、この短編の登場人物たちが「どぶどろ」で一つの流れに纏まって行くのが面白いところの一つ…と言いたいのですが、ちょいとやり過ぎに思えます。中には無理して殺されちゃってる人も居るし?
序章とでも言うべき短編集の部分は面白いんですけどね。
山本周五郎や山手樹一郎、また藤沢周平らと違い、江戸時代を描いているのに妙に現代的というか、不思議な緊張感が有ります。長いセリフ回しが有るからか?などとも考えましたが、僕ごときには説明しきれません。前述の作家たちが日本画で描いているのをこの作品集は油彩で描いているようだとでも言いましょうか。
もちろん嫌いではなく、むしろ新鮮さを感じつつ楽しく読みました。
ただその分「どぶどろ」がなぁと残念でなりません。序盤にもっとゆっくりと登場人物を描き込んで欲しかったし、なにより説明的な部分が多くて読み辛いというのが正直な感想です。終わり方自体は嫌いではないのですが、その前がね。
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