
『妻恋坂』
文春文庫
平成24年4月6日読了
表題作及び収録二作目の「仇討心中」が特に素晴らしかった。無理に起承転結を求めたり感動を強いたりしない辺りが粋で、更に言うと尾形光琳を連想さする雁金屋やら様々な絵師の名前が出てくる辺りも僕のツボで、知識の出し方もこれまた粋であります。
登場する女、また男らは無駄に現代的でなく、無理に時代モノ的に鋳型にはめて居ないのもまた良い。
著者の作品は今まで読んだコトがありませんでしたが勿体無い話と惜しむべきか、いやコレから読めるのを喜ぶべきか?
藤沢周平は好きですが、さて粗方読んでしまうと次のお気に入りが欲しくなるものです。しかし探しても代わりが居る筈もなく、似たような作品を手にしては不満を覚えた経験をされた方も多いのではありますまいか。少なくとも僕はそうであり、本書もその失望覚悟で手にしたのですが、期待以上でした。
なにより藤沢周平ゴッコに自己陶酔していないのが良い。珍しく絶賛してるなぁ、僕。