
『逃げてゆく愛』Liebesfluchten
訳:松永美穂
新潮文庫
平成22年3月3日読了
一読しての感想は、作者は短編に向いているのではないかと言うコトでした。前作『朗読者』もですが短編集である本書の中でも長めのモノは正直だれました。囁くような文体は見事でついつい付き合ってしまうのですが、しかしなぁ…。語り口の魅力は文句なしで、僕とは確実なウマが合わないであろう登場人物たちも納得出来てしまいます。あぁそういう奴なんだろうなと。
個人的には「息子」や「ガソリンスタンドの女」のような人生を悔み悲しむ描写に心を乱されますが、好きなのは「もう一人の男」で、妙な幸福感に包まれました。映画化したらかなり良い作品になるんじゃないでしょうか?もちろん監督にそれなりの文体が有れば、ですが。
PR