
『朗読者』Der Vorleser
訳:松永美穂
新潮文庫
平成21年5月8日読了
内省的な知人の独白…というか覚え書きに耳を傾けている感じの作品で、そういう意味で作中の「わたし」は読者にとってもまた朗読者ではなかろうか?
小説としては僕の好みからやや外れているし、なにより具体的な描写が少ないのでモヤモヤさせられるんですよね、悪くはないんですが。
所謂小説としてはサービスに欠ける本書の評価が高いのは扱ったテーマによるのではないかと思われました。
否定的な意味で言うのではありませんが、彼女の過去がナチス絡みでなかったら描写は違ったものにされていたのではないかしらん?
もっともソコを変えると幾つかの要素もまた変えなくてはならないだろうし、そうすると全然違う作品になったでしょう。
文学作品としてはその方が普遍的で良かったかも知れませんが、ドイツに生まれた或る年代の法律学者によって書かれた作品としての意義は無くなったでしょうね。
更に言うと、文学的に傑作になったかもしれませんが世界的に読者を得たかも疑問かも…そうなるとコレで良かったんでしょうね?
願わくば宣伝に踊らされて若い世代が飛び付くコト無く、かつ人生の白秋を意識し始める世代の目に留まらんコトを。
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