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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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山手樹一郎『殿さま浪人』


『山手樹一郎長編時代小説全集78 殿さま浪人』
春陽堂文庫
平成24年2月2日読了
ハリウッド映画で言えばモノクロの、「古き良き時代」の作品。登場人物は単純だが平板ではなく、物語もご都合主義かつハッピーエンドだが退屈させない…と心地よく読める。語り口の見事さなどはまさに職人芸であろうし、特にラストシーンの切れ味は過去の作品と侮れまい。
まさにプロなんでしょうなぁ。
藤沢周平にも素晴らしい作品が多いが『檻』シリーズが本作などに似た味わいで、もう少し話題に上っても良いんじゃないかしらん?
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山手樹一郎『遠山の金さん』


『遠山の金さん』
春陽堂
平成23年9月25日読了
遠山の金さんと言われると思い浮かぶのは「この桜吹雪が…」なんてアレですが、本書はそれ以前の金さんです。
この選択が上手いよなぁと。
言われてみれば若い頃はグレていただの噂ばかりで町奉行になっちゃってましたからね、果たしてなんで刺青なんかというあたりの事情が判らない。本書はそれ以前の“町人時代”です。なぜ旗本の次男坊金四郎青年が家を出たのかと言う家庭の事情、また遊び人としてナニをしていたのか、なんでまた刺青を?などの絵解きをしてくれています。更に二十余話が推理小説の形式で楽しいコト間違いなし。短編としての切れ味の良いですしね。
加えて恋女房であるお玉ちゃんの存在も気になるところ。そこまでは描かれていないのですが果たして町奉行となった金さんとの間はどうなっているのやら…続きが有ればぜひ!と思いますが、さてさて。

山手樹一郎『春秋あばれ獅子』


『山手樹一郎長編時代小説全集28 春秋あばれ獅子』
春陽堂
平成24年3月15日読了
冒頭からしばらくは甘ったるく、意外な気がした。加えて同じ話の繰り返しがくどく疲れる…登場人物による他者への説明を省略しないて毎回喋らせるんだからたまらない。
粗筋だけ言えばロマンスの味付けされたサスペンスになるのだが、一方で作品紹介(もちろん作者の責任ではないが)やら前半で甘ったるい伸びやかな印象を与えられる。
そしてそれがトッチラカッタまま。
個人的な好みで言えば、出だしの雰囲気からすれば誰も死なせないで欲しかった。ラストシーンが印象的なだけに勿体無い気がする。
もう一作の「和蘭囃子」は浣腸と虫下しの連発でイヤハヤナントモ…まぁ「春秋」よりはスッキリして読みやすいか。
ただ「西から江戸に向かう主人公が女道中師に懐中の五十両を奪われるが気にしない」「むしろ女を助けてやり惚れられる」という道具立てが同じなのがね。手抜きと言われても当然だわなぁ。

山本周五郎『酔いどれ次郎八』


『酔いどれ次郎八』
新潮文庫
平成20年10月2日読了
試行錯誤時代の…と言うだけあって、成る程イチイマな感じの作品が多かったですね。珍しい現代小説なんて別に山周である必要が無いくらいの凡作で、こんなのまで掘りおこされてはたまらんだろうなぁ。
それでも後に代表作に数えられていそうな作品の、祖形のような出来も散見します。故に山周好きなら読んでもそれ程に腹も立たないのではないでしょうか?
最初に手に取ったのがコレだとしたら、お気の毒としか言い様が無いんですけどね。
個人的には一番完成度が高く感じられた「与茂七の帰藩」をタイトルにして欲しかったのですが。

山本周五郎『ひとごろし』


『ひとごろし』
新潮文庫
平成22年5月14日読了
生前に作者が廃棄したいと語っていたという初期きの作品から、最晩年のモノまでアレコレ入った作品集ですが、そりゃそうだよねと思わなくもなかったりしました。
戦中という時代の圧力が感じられる(当局の喜びそうな)説教臭い作品は、さすがに現代になって読むと鬱陶しい。まぁ全体的にやや理想論を説くような傾向はあるのですがね。
意外だったのは表題作でもある「ひとごろし」が既に映画化されていたというコトです。しかも主演が松田優作…最初は意外に思いましたが、改めて思うに凄い演技をしてるんじゃないかと観たくてたまらなくなっています。

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