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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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山本周五郎『日日平安』


『日日平安』
新潮文庫
平成22年4月3日読了
表題作は黒澤明監督作品『椿三十郎』の原作なのですが、映画とは真逆の面白さです。違いを楽しむのも一興でしょう。映画化とはこういうもんだ、と個人的には感動しています。
再読して思ったのは、基本的にハッピーエンドだなというコトです。少なくとも運命や社会の理不尽さに身悶えするような結末はありません。
似たようなジャンルの藤沢作品と比べて意外性に乏しいとも言えますし、現実味に欠けるとも言えます。しかしその分安心して読めるのも確かで、特に寝る前には適しています。この辺りは創作の動機や発表当時の読者層の違いが原因かしらんと。
また藤沢作品との比較で言うと文章表現の違いにも興味深いものが有ります。例えば風景について言えば山周が絵画だとすれば藤沢は写真のイメージ。前者が表現にも技巧を凝らそうとするのに対し、後者は手を加えるのではなく如何に写し取るかに心を砕いているように思われます。
場面転換のタイミングや食べ物に対する書き込みの度合いから、なんとなく舞台劇と映画の匂いをそれぞれ感じるのですが、コレって作者の世代なんかにもよるのかな?と。
以上、感想から逸れてしまいましたが思うコトをつらつらと。今や藤沢周平に駆逐された観のある山本周五郎ですが、もっと読まれて良いのになぁと思われます。捨てておくには惜しいですね、多少お説教臭いけど。
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矢作俊彦『舵をとり風上に向く者』


『舵をとり風上に向く者』
新潮文庫
平成22年12月29日読了
敢えてこんなことを言うのもどうかと思いますが、説明過剰ではないのが良い。
例えば表題作のラストで主人公が感じる不愉快はナニに向けられたものか?また「一瞬の幸福」の怒り、「ON THE COME」の賭けたものとその対価…と自分の中にゴロリとした読後感が残ります。何年かおきに読むとその度に解釈が変わるんだろうなぁ。
どれもギリギリにぴんと緊張して見栄を張っている先輩、と言う感じで少し離れて憧れて観てしまいますね。僕自身は関川夏央の年の離れた弟と言う気分なんですが。
ちなみに「銀幕に敬礼」の主人公を石原裕次郎をイメージしたと某サイトのカスタマー・レビューに書いている方がいらっしゃいましたが、いやいやエースのジョーだろう?と思うんですけどね。まぁ僕自身、日活アクションをロクに観ていないので見当違いかも知れないですし、全体としてこんな推測自体が野暮な話ですが。
蛇足:明らかに勘違いしている全共闘世代の解説は蛇足と言うよりも玉に瑕で、本を痛めるのを恐れなければ剥ぎ取りたいくらい。不惑を過ぎて依然“世界同時革命”の寝言を唱えるのも結構ですが、果たして以来20年を経て少しは世間を良く出来たのかよ??と。

矢作俊彦『複雑な彼女と単純な場所』


『複雑な彼女と単純な場所』
新潮文庫
平成20年1月12日読了
ヨコハマには以前から憧れが有った(ベイスターズのファンになったのは無関係)のですが、所詮ヒトは生まれ故郷の殻を尻に付けて生きているのだなぁと感じています。毎年ハマスタに出掛けるのですが帰途が長い所為でも無いのでしょうけど、球場外に一歩でも出ると余所者としての気分が抜けません。
で、本書なのですが違った意味で僕との共通点のようなモノを感じなくも有りませんでした。
著者は横浜市中区の出身で僕はソレに憧れる“千葉の百姓”なのですが、未だに暮している故郷が我が物顔の他所からの流入者に浸食されているという寂しさというか苛立ちというか、一言では言い表せない感情が有る点は同じではないかと。
統一されたテーマで書かれたのではなく、幾つかの雑誌などに掲載されたモノを集めたエッセイ集ですが総じて雰囲気は同じかなぁと。相当口が悪いのですがソレに釣られてはイカンのだなと。

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