
『白い巨塔』全5巻
※発表当時は『白い巨塔』が1~3巻であり、4・5巻は『続・白い巨塔』にあたる。
新潮文庫
平成20年2月17日読了
正直一言で言って「そりゃ無ぇだろう?」と言う作品。
母親が以前に某国立大学の教授選挙がいかにエゲツナイかを見ていたそうで、その話は少しだけ聞いていました。ま、小説だから誇張しているとは言えやはりドコでも酷いモノだなと読んだのですが、面白いのはソコまででした。
※以下本意では有りませんが粗筋を紹介しつつの感想です。
これから読もうと思っていらっしゃる方は読まないコトをお薦めします。
【教授選挙編】
面白いのは正直ココだけ。
天才的な外科手術の腕前を誇り次期教授を目指す財前助教授と、退官後にも影響力を維持したいが為に財前外しを画策する東教授の二人が中心となって泥仕合を展開します。細かい紹介は避けますが、浪速大学OB会や地元大阪の医師会をバックにゼニで攻める財前側と、東都大学閥を利用して中央とのコネ(権力)で攻める東側と正直ドッチにもウンザリさせられます。
ウンザリしつつ面白く読むんですけどね。
僕自身は関東の人間ですが奇麗事を言ってうわべを取り繕うとする東側に、よりウンザリさせられました。財前が勝ってホッとしましたよ。
【国際会議出席編】
ココから一気にしらけます。
どうして舞台が海外になると急に小学生の作文のようになるんだろう?一々アソコでナニしたココでカニした…なんて読者としては鬱陶しいだけなのに、妙に細かいんですよね。まるで「観光旅行ではありません、取材です」と税務署に向けて書いているようで退屈です。
【医療裁判編】
ドイツから帰国した財前を待っていたのは誤診裁判だった…というのですが、原告側の言いがかりに思えなくも有りません。手術のしっ放しで様子を見ようともせず、更に容態が急変しても放置され挙句に死なされたら、そりゃぁ訴えるでしょうが、でもなんかなぁ。
作者のご都合主義も甚だしく有能かつ実力者である筈の財前側弁護団が無能の極みで、良くこんなので被告側が勝てたよなぁと呆れました。
【医療裁判控訴審+学術会員選挙編】
ココからが蛇足です。
小説家の社会的責任だかナンダカに目覚めて書いたのだそうですが、完全に無駄に思えます。
登場人物たちが自分の薄っぺらな正義感で行動するのは良いとして、作者がソレに乗ってしまうのはイカガナモノカ?
例えば最後の最後に今までの証言を覆して財前を裏切り「真実」を証言する研修医が居るのですが、コレって作者の言うように止むに止まれぬ正義感から真実の叫びを上げたのではなく、単に責任を全て転嫁されそうなので保身の為に寝返ったに過ぎない。
もちろん人間なんて弱い生き物で最後には告白したのだからマシだろうと言えば言えますが、作者のスタンスは違うんですよね。なんかもっと冷たいというか。
最後に面倒くさくなったかのように財前を殺してハイサヨウナラ♪じゃ、やりきれないなぁ。
【関連作品】
映画化作品『白い巨塔』
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