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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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笹沢左保『新大岡政談』


『新大岡政談』
新潮文庫
平成19年12月3日読了
あくまで印象ですが、ベテランの流行作家がアイデアだけで書き飛ばした感じでした。なすがに技術や知識の貯金が有るので手堅く仕上げているのですが、もっと磨けば光ったろうに?贅沢に食い散らかしたなぁ、と。
個々の挿話としては趣向が凝らして有るのですが、全体を貫く筋が未消化。主人公の一人町人侍・水木新八郎を付け狙う存在がチョコッとしか登場しないので設定がまるで生かされておらず緊迫感に欠けます。
ドラマ化でもしたら面白いんじゃないですかね、むしろ。縦糸をもっと太くしたりして。
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笹沢左保『花落ちる 智将・明智光秀』


『花落ちる 智将・明智光秀』
新潮文庫
平成19年12月10日読了
本能寺の変と言うと、長年続いた信長の仕打ちにトチ狂った光秀が“キレテヤッチャッタ”という程度の認識しかなかったのですが(不勉強だなぁ)、せざるを得ない程に追い詰められていたのだなぁと改めて感じました。
信長のイメージもまた変りました、いや酷いもんですなぁ。「曲折の章」の冒頭で人物像に触れていますが、時代を超越した合理的な精神の持ち主云々は後付だというのは成る程と思いました。
いや小説で学んだつもりになっても拙いでしょうが。
構成の点で惜しむらくは架空の人物である助四郎の視点から光秀を描く…のなら徹底して欲しかった気がしなくも有りません。傍観者として扱った方が読み手としては良かったかと思われます。ラストもスッキリしたろうし。
これで信長を主人公にした作品を読んだらまた意見が変るんだろうけど…。
【関連作品】
・合わせて読んだ同時代を描いた作品はコチラ
『反逆』遠藤周作
→松永久秀、荒木村重、明智光秀と続く信長への反逆の歴史と秀吉の“天下取り”まで。
『秀吉と武吉 目を上げれば海』城山三郎
→前掲書では背景でしかなかった毛利方の様子が描かれています。本能寺以前から関が原の合戦まで。
『信長と秀吉と家康』池波正太郎
→ちょいと古臭いですが一応タイトルの通り三人について纏めています。
『逆軍の旗』藤沢周平
→光秀を生身の人間として描き、そのアヤフヤさが非常にリアルでした。

ローレンス・サンダースLawrence Sanders『ホワイトハウスの悪魔』CapitalCrimes


『ホワイトハウスの悪魔』CapitalCrimes
訳:高野裕美子
早川書房
平成19年4月6日読了
主人公の正体について書かれていないのは良いとしても、その他の人物や事件についてはもっと書き込んで欲しかった。
難病の息子を救ってくれた謎の宗教家に信心深い大統領夫妻が傾倒して、ついには重要な政策にまで指示を仰ぐようになり…ってな展開だとして、ならば別の宗教の国民はどう反応するのかなどもっとエピソードを広げられたと思うのだが。
それにしても訳者はあとがきで「怪僧ラスプーチンの影をクリストス(主人公)に重ねあわせる人も多いことだろう」と言っているが、モロですよ、モロ。ネタバレにも通じるので一々例を挙げないけど。

サキSaki『サキ短編集』


『サキ短編集』
訳:中村能三
新潮文庫
平成24年3月20日読了
意地悪なO.ヘンリと言ったら不当かもしれませんが、判り易いでしょうか?少なくとも教科書に載せても良かろうと思える作品は見当たりません。そこが良いんですがね。
解説によると本書とは別にグレアム・グリーンによる撰集があるそうですが、それも興味深いですね。出来れば全作品を読んで、誰がどういう選択をするかをみてみたい気もします。ちなみに僕が本書から選ぶとしたら以下の通り。
「二十日鼠」
「話し上手」
「開かれた窓」
「宵闇」
「七つのクリイム壺」
「盲点」
それぞれを選んだ理由は割愛しますが、コレってちょっとした自己紹介にもなりそうですね。

サキSaki『サキ傑作集』


『サキ傑作集』
訳:河田智雄
岩波文庫
平成21年10月31日読了
なぜ今まで読まなかったのか、自分の不明を恥じました。いやぁ面白かったです。
起承転結のキッチリとした短編の名手として、同時代のO.ヘンリと比較されるそうですが、サキの方がドライで現代的な印象です。O.ヘンリの素朴な味わいや暖かさも良いのですが、大人の味はコチラかな?と。
個々の作品についての感想は些末になるので省略しますが、僕としては子供の出て来るモノが特に面白く読めました。
またカットの仕方が絶妙で、テンポの良い映像作品のようであり、それでいてキッチリ小説だなぁと。もし自分が文章でナニかを表現したい時は、絶対に手本にしたいと思いました。
まぁそんな機会は無いでしょうが?

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