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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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ネビル・シュート Nevil Shute『パイド・パイパー 自由への越境』Pied Piper


『パイド・パイパー 自由への越境』Pied Piper
訳:池央耿

創元推理文庫
平成23年4月28日読了
じんわりと心に沁みる良い話でした。勝手な想像ですが作者の人柄がしのばれますね。敵味方を画一的に描くのでなく次々と迫る困難にも難儀なことよと応ずるのは主人公を年寄りにした成果でしょう。もちろん甘いだけでなく戦争の残虐さも描かれています(爆発シーンなぞより効果的に)。
しかし一番驚嘆すべきは1942年の執筆と言うコトで、いやはや大戦初期によくそんな…と思いましたが、あの結末の雰囲気は逆に当時だからこそという気がしなくもありません。
それにしても表紙の素晴らしいコト、東京創元社の装幀室は良い仕事しているなぁ。
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司馬遼太郎『菜の花の沖』


『菜の花の沖』全六巻
文春文庫
平成18年11月3日読了
ヤマである筈の終盤は引用ばかりのスカスカで、ゴロヴニンの原著(と言っても当然邦訳のモノ)の方が断然面白い。
本来ならば論文などにでもすべきテーマを、その時代を代表する狂言回しを得て小説“風”にしてきた作者だが、今回は人選を誤ったのか、興味が持続しなかったのか?
いずれにせよ全六巻なんて紙数を費やす価値は無いのではないか?
【関連作品】
『日本幽囚記』W.M.ゴロヴニン
『私残記 大村治五平に拠るエトロフ島事件』森荘已池

シュヴァイツェルAlbert Schweitzer『水と原生林のはざまで』Zwischen Wasser und Urwald.Erlebnisse und Beobachtungen eines Arztes im Urwalde Aequatorial Afrikas


『水と原生林のはざまで』Zwischen Wasser und Urwald.Erlebnisse und Beobachtungen eines Arztes im Urwalde Aequatorial Afrikas
訳:野村實
岩波文庫
平成24年2月21日読了
20世紀初頭にアフリカに渡り医療に従事した氏の、その最初期の記録です。
悪戦苦闘振りもさることながら、現地での生活が面白い。カバの恐怖やゾウの傍若無人振り、原生林での飢餓について、またこちらとは桁外れにスケールの大きい林業の話など愉快に読めました。
精神病者の扱いは…ちょっとしたホラーだったりしますしね。
また最後に述べられる現代医療の恩恵を受け感謝しているのなら、恵まれない他者が同じような恩恵を受けられるように社会に貢献すべきだ、という発言は(似たような話を山手樹一郎で読んだぁ)心に響きます。
ちなみに現地人については原始人だの土人だの果ては原始土人だのと、抗議好きには涎の垂れそうな用語の連発です。随所に見られるキリスト教的独善や白人優越主義とも合わせて当時の考え方が判り、いろいろな意味で面白いですよ。愉快じゃないけど

ベルンハルト・シュリンクBernhard Schlink『朗読者』Der Vorleser


『朗読者』Der Vorleser
訳:松永美穂
新潮文庫
平成21年5月8日読了
内省的な知人の独白…というか覚え書きに耳を傾けている感じの作品で、そういう意味で作中の「わたし」は読者にとってもまた朗読者ではなかろうか?
小説としては僕の好みからやや外れているし、なにより具体的な描写が少ないのでモヤモヤさせられるんですよね、悪くはないんですが。
所謂小説としてはサービスに欠ける本書の評価が高いのは扱ったテーマによるのではないかと思われました。
否定的な意味で言うのではありませんが、彼女の過去がナチス絡みでなかったら描写は違ったものにされていたのではないかしらん?
もっともソコを変えると幾つかの要素もまた変えなくてはならないだろうし、そうすると全然違う作品になったでしょう。
文学作品としてはその方が普遍的で良かったかも知れませんが、ドイツに生まれた或る年代の法律学者によって書かれた作品としての意義は無くなったでしょうね。
更に言うと、文学的に傑作になったかもしれませんが世界的に読者を得たかも疑問かも…そうなるとコレで良かったんでしょうね?
願わくば宣伝に踊らされて若い世代が飛び付くコト無く、かつ人生の白秋を意識し始める世代の目に留まらんコトを。

ベルンハルト・シュリンクBernhard Schlink『逃げてゆく愛』Liebesfluchten


『逃げてゆく愛』Liebesfluchten
訳:松永美穂
新潮文庫
平成22年3月3日読了
一読しての感想は、作者は短編に向いているのではないかと言うコトでした。前作『朗読者』もですが短編集である本書の中でも長めのモノは正直だれました。囁くような文体は見事でついつい付き合ってしまうのですが、しかしなぁ…。語り口の魅力は文句なしで、僕とは確実なウマが合わないであろう登場人物たちも納得出来てしまいます。あぁそういう奴なんだろうなと。
個人的には「息子」や「ガソリンスタンドの女」のような人生を悔み悲しむ描写に心を乱されますが、好きなのは「もう一人の男」で、妙な幸福感に包まれました。映画化したらかなり良い作品になるんじゃないでしょうか?もちろん監督にそれなりの文体が有れば、ですが。

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