
『或日の大石内蔵之助 枯野抄 他十二篇』
解説:中村真一郎
岩波文庫
平成19年7月31日読了
不勉強なもので『羅生門』やら『河童』などでしか芥川を知らなかったのですが、いろいろと読めて知らない顔を見た思いも出来て面白かった。ただ全体的に試作品的な印象の作品も有り、長生きしていれば多彩な花を咲かせていたろうに…と残念に思わなくも無いのですが。コレって、早世したと知っているからかなぁ?
惜しむらくは基本的にある程度以上の知識や教養を必要としているので、解説の助けが無いと辛いかもしれません。僕の場合はたまたま知っている分野だったので(例えば『秋山図』では黄公望などの名前が出てくる)それほどシンドくはなかったのですが…。
解説によれば『開化の殺人』と『開化の良人』、『舞踏会』は緩やかな連環を生しているそうで、なるほどそうして読むと非常に奥行きが広がります。もちろん個別に読んでも一幕物のように楽しめますが、行間ならぬ“作品間”を読む感じとでも言いましょうか?
【関連作品】
・ピエール・ロチ『秋の日本』(角川文庫)所収「江戸の舞踏会」
前述『舞踏会』の元ネタとも言える作品。ただしネタを頂戴したと言うよりは、返歌だと言う方が正しいのかもしれません。ロチが参加し観察もしている舞踏会で、そのロチの相手をした少女の回想が芥川の作品になっています。
思えば初見は大学時代、文章表現演習の講義ででした。先生お元気でしょうか?あな懐かしや♪
・井上ひさし『不忠臣蔵』
「或る日の…」とは逆に討ち入らなかった、または討ち入れなかった人物たちを扱っています。