
『ナイト・ドッグス』Night Dogs
訳:菊地よしみ
ハヤカワ文庫
平成19年8月4日読了
本来なら俺はベトナムで死ぬ筈だったのに…と生き残ったコトを契約不履行のように感じている主人公の“死”を描いた作品。
面白いと言うよりも良い作品と言うべきか。
一つ一つが作品として成立するであろうエピソードを惜しげもなく削り、単なる挿話としているのが効果的で、警察の過酷な勤務(個々の重大事件が同時期に平行して起こり、かつ途切れるコトもない)が迫力十分に伝わってくる。ただ主人公の過去を執拗に洗い続ける刑事や、淡い恋心の対象である女性警官とのエピソードは柱としてもう少し描きこんでも良かったのではないか?特に前者については食い足りなかった。
個人的に印象的な描写は切り刻まれた肉体の表現で、カエル、人間、犬と区別なく生き物であると言う生々しさと、更には匂いまでするようだった。
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