
『日本幽囚記』全三巻
訳:井上満
岩波文庫
平成18年11月1日読了
外国人による幕末から明治にかけての日本見聞記が好きでアレコレ読んでいます。本書も同様の理由から手に取ったのですが、期待以上の面白さでした。
著者は帝政ロシアの海軍士官。19世紀初頭に蝦夷地で日本側の捕虜となってしまいますが、本書はその事件の発端から解決までを描いています。
「もし日本人が西洋の文明を取り入れてその気になりでもしたら、東アジアに動乱が起きるだろう」とは卓見で、不自由な捕虜生活の中でこんな分析が出来るとは…と驚かせられます。
もっとも一方で「(日本人の番卒は)白人と黒人が同じ2人の祖先から誕生したなんて信じられませんなと言っている」などと言う件には19世紀のキリスト教徒が感じられてコレはコレで興味深いのですが。
“文明人から見た未開な社会の観察記録”を野蛮人と言われる立場から読めるというのも興味深い経験ではないでしょうか(時々腹に据えかねる描写の有りますが)?
【関連作品】
『菜の花の沖』司馬遼太郎
『私残記 大村治五平に拠るエトロフ島事件』森荘已池
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