
『名短篇、ここにあり』
編者
共同編者:宮部みゆき
ちくま文庫
平成24年5月19日読了
当然ながら編者の趣味が前面に出ており、それが合わないと二進も三進も行きません。まぁ本書のコトなんですけどね。
巻末に収録されている編者二人の対談からして僕のノリではなく、悪ふざけというか趣味だよねとしか言いようがありません。バラエティーと呼ばれるテレビ番組の、出演者が楽しんでいるのを彼らのファンが観て楽しむという、あの形式に似ているかもしれません。
それ故にどの作品も“名短編”と名付けて良いか疑問符の付くモノばかりでした(さすがに幾つかは面白いのも有りましたが)。
唯一の救いは、以前から読みたかった吉村昭「少女架刑」をやっと読めたコトでしょうか。特に冒頭の砂粒が水滴に踊る箇所などは印象的でした。美しいなぁ。
ちなみに重箱の隅を突っつくと「隠し芸の男」について編者二人は勘違いしています。主人公はまだ引退には間があり、勤続年数は二十年。故に本当の絶望は残りの会社人生が灰色の荒野として広がっているコトでありましょう。そう考えると結末の味わいもまた変わろうかと。
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