
『敦煌』
新潮文庫
平成24年5月8日読了
面白いと言えば無類の面白さだが、勿体なさもまた無類と言われそうでもあるか?
中国西域に於ける異民族との交流についてロマンを感じる僕としては、主人公趙行徳が流れて行く過程を共にするかのようで興味深い。そして軍人朱王礼の獅子奮迅振りに彼の地の風土を感じます。
乾いた文体で淡々と進むのも舞台である乾燥した砂漠に合っているのではないか、などと。
しかし一方で淡々としている、し過ぎている点に食い足りなさを感じる人も居るのではないか知らん?
序盤で行徳の西へ流れ出す様子はまるで操り人形のようで、もう少し人柄を書き込んでくれてもと思わなくもありません。王礼やらが現れて生きている人間を感じられますが。
また淡々としているだけに最大の山場が迫力をもって迫って来ますが、その山場も淡々と描かれているのがなぁ。
何作か読んだ現在はこんなモノだと判っていますが、中学時代に初めて「蒼き狼」を読んで覚えた失望感(と薦めた母親への怒り)は忘れられません。当時は司馬遼太郎が好きだったからなぁ。
PR