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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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本田靖春『誘拐』


『誘拐』
ちくま文庫
平成24年7月3日読了
面白さに驚いた、久々に徹夜をしてしまったくらいです。
事件そのものの劇的な解決は知られているかと思いますが、他に捜査の散らかりぶりなどがジリジリと迫ります。多少の土地勘も有る(つもりな)ので余計にですが。
また構成も見事で、事件の発端やそれ以前を描いている賞の次にいきなり関係者の証言が出て来るなどは斬新かつ劇的。更に真相を最後にサラリと触れただけなのもどぎつくなくて良く、センセーショナルな刺激でごまかしていない姿勢が下品にならずに済んでいます。
ただ違和感を覚えた点も幾つか。
まず犯人が獄中から参加した短歌結社の代表がその改悛の情を伝え死刑に異議を唱えたと紹介していますが、被害者と同じ年頃の子供が居る身としてはふざけるなと腹が立つ。コレなどは取材の“し過ぎ”によるストックホルム症候群の一種ではないか?
また警察発表に引きずられた新聞についても批判が足りないのではないかしらん。まぁ著者も元々が新聞記者だから多少の言い訳は仕方有りますまいが。
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結城昌治『森の石松が殺された夜』


『森の石松が殺された夜』
徳間文庫
平成24年4月21日読了
ヤクザは所詮ヤクザだ、というスタンスがはっきりしていて無駄に感情移入していないのが良かった。その辺りは現代モノ同様で、更に幕末なのが寂寥感を増しています。
特に表題作は歴史の疑問点を推理するというテイ『時の娘』にも似て…はいませんが、異議申し立てのような結論てバッサリとした結末が見事。清水の次郎長に対するイメージがガラリと変わりました。まぁもともと大したイメージなぞ持ってませんでしたが。

津本陽『鬼の冠』


『鬼の冠』
新潮文庫
平成24年6月14日読了
祭ろわぬ者、と言われそうだが解説で言うように史伝かは疑問。だがそれにしても面白い…神憑り的なエピソードは疑問だが。
純粋に読み物としても主人公たる武田惣角についての書き込みは充分とは思えず、偉そうに言わせて貰えば全体の構成をもう少し整えても良いのではないか?と残念。
ただそれでも面白く読んだのは僕に合気道、というか武術に興味が有るからでしょう。実践する気は無いんですがね、思想として絵を考える参考にならんかなと(利己的ですな)。
それにしても本気の殺し合いを経てこそ、となると往古を超える人材は出ない方が幸福と言えましょうか。

シュペヴィエルJules Supervielle『海に住む少女』L'enfant de la haute mer


『海に住む少女』L'enfant de la haute mer
訳:永田千奈
光文社古典新訳文庫
平成24年6月27日読了
著者の名前を初めて知ったのは高橋葉介『真琴グッドバイ』の中ででした。その時はあまりにも葉介の作品世界に合っているのでフェイクかと思っていましたが、数年前に新聞でも目にして実在するのだと知りました。そして今回一読して感じたのは、葉介も好きなねだろうなぁと…今更ですが。
作品を紹介するならば…なんとも言いようが有りません。訳者もあとがきで魅力をどう紹介したものか困ってしまうと明かしている位ですから、僕が言えるのは読んで下さいだけでしょう。どれも短いしね。
好きなのはまず表題作。不思議な世界の情景を描写しているうちに切ない最後に至ります。そりゃ真琴ならずとも絵に描きたくなりましょう(冒頭参照)。
多分思春期の少女を描きドキっとさせられる「バイオリンの声の少女」と、早い展開に葉介を思い出す「足跡と沼」も印象的でした。

ミステリー傑作選『意外や意外』


ミステリー傑作選7『意外や意外』
講談社文庫
平成24年4月30日読了
序盤は果たしてドコが傑作選なんだか判らない、どうでもいいような作品ばかりかと思われました。松本清張にしてからが、素人犯罪者のアリバイ工作を玄人探偵たる刑事が暴くだけ…とでもいうべき作品でね。
ただ後半に入り面白く読める作品が増えてきます。もっともサゲが気に入らないなど少々の不満が混ざるモノばかりですが。
以下、良かった方に触れてみますと…
「写真の女」小松左京
後半はともかく“肉”についての考察は良かった。結末も苦いし好みではあるが、多少理屈っぽいのがなぁ。
「直線大外強襲」佐野洋
さながらディック・フランシスごっこか?それなりに成功してはいますがやはり本家には及ぶべくもない。
「裏切りの明日」結城昌治
ある意味で一番“意外や意外”な結末で、まさかのハッピーエンド。たまには良いか、とも。
「殺しに行く」河野典生
不満を二つ。まず序盤の車のルートが不自然に思えた。幾ら夜中でも新宿コマ劇場の前を走るか?またわざわざ靖国通りを渡るのもね、まぁ昭和47年の作品とすれば今と違うかもしれないが。もう一つはラスト。警察ってそんなに簡単に発砲するかね?「天才バカ×ン」ぢゃあるまいし。
しかしそれ以外は良かった。
「死んだ甲虫」笹沢左保
犯罪が絡み読み進むうちに謎が明らかになっていく、となるとミステリーなんでしょうが、パズルものとは一線を画し香りが高い。本書の中では一番ではありますまいか?

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