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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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井上靖『風濤』


『風濤』
新潮文庫
平成22年12月17日読了
元寇の役を高麗の立場から…というので手に取ったのですが、本当に高麗にとってのみでした。もちろん元も出て来ますが、日本における戦役は伝聞としてしか出て来ません。出てくる日本人は連れて来られたモノだけで、日本の史書に出るような人物は皆無です。
スッキリしているよなぁ。
篠田一士の解説にも有りますがやはり印象に残るのはフビライその人。高麗を襲う暴風雨は彼の気分次第とでも言う感じで、権力の恐ろしさが際立ちます。いやホント、島国で良かったぜ…なんて言っちゃイカンか?
井上靖って中学時代には面白くもナンとも無かったのですが、大人になってみると面白いですな。もう少し学生気分が残っている頃なら更に知識やら読解力が残っていて楽しめたろうにと残念ですが。
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井上靖『風林火山』


『風林火山』
新潮文庫
平成19年12月7日読了
最初は古風な読み物として読み始めたのですが、いつの間にか取り込まれていました。
特に最後の合戦のシーンは霧を衝いて現れる上杉の軍勢が自分が武田の足軽になったような迫力で感じられ、絵巻物に引きずり込まれたようでした。藤沢周平を読むとどうしても映像を想像してしまいますが、コチラは文字通り“文字”という感じです。
不勉強なので山本勘助が果たしてこの小説のように生涯を閉じたのか(実在かどうかは別にして)知りませんが、作品としてはこの終わり方以外に無いのではないかというくらい見事でした。

井上靖『後白河院』


『後白河院』
新潮文庫
平成22年11月16日読了
タイトルにもなっている主人公そのものを登場させず、周辺にいた人物たちに語らせるという趣向が面白かった(珍しくは無いと言われそうですが)。
惜しむらくは不勉強なので註を頼りにしてもシンドかったんですがね…史学科卒ですが政治史には興味が無かったしなぁ。勿体無い話だ。

井上ひさし『不忠臣蔵』


『不忠臣蔵』
集英社文庫
平成23年12月3日読了
フィクションと割り切って楽しんでいる分には文句はないのですが、半ば史実とされているのがひねくれ者としては気に入らない。『西遊記』は歴史小説で孫悟空や沙悟浄らは実在したというようなものではないの?
で、本書です。
彼らはなぜ討ち入りに参加しなかったのか、または出来なかったのかを一人語りの連続で明かしていくというのがまず面白い。そのまま舞台で観たいもんだと思ったら朗読劇として上演されたコトもあるそうで、そりゃそうだよなと納得。
各章は主題となる人物の名ですが、いずれも読み進めて行かないとその人物と語り手との関係や、時代が判らないのがミステリー仕立てのようでページを捲る手が止まらなくなります。パターンは幾つかに別れ、ブラックな笑いに包まれたモノ(ただし笑えない…素晴らしく面白いんですが)や、討ち入りその他に批判的なモノ。また一方で本家『仮名手本忠臣蔵』は知りませんがそのサイドストーリーのようなものも有ります。更には城の明け渡しに伴う実務の煩雑さや切腹の作法に始まり、アレコレの豆知識も上手く盛り込まれております。
お薦めの一冊です。
【余談】
それにしてもなぜ彼らは吉良邸に押し入り虐殺しまくったのか、理解出来ません。各登場人物の台詞を借りて言うなら内匠頭の行為は侍として下手くそ、大名としては失格。大石も家老として失格で、討ち入りなぞ残される者には傍迷惑でしかない。
現代人の感覚で裁くのは過ちの元ですが、これらは当時から判っていた筈なのになぁ?
当初の望み通りお家再興がなされていたら、せめて再士官が容易だったら彼らはそれらを捨てて討ち入りをしたのかしら?亡君の無念を晴らし公儀を批判しるのが目的ならば、とっとと討ち入って泉岳寺で腹を切りゃ良いのにさ?片付けは大変だろうけど。
【更に余談】
赤穂事件の30年だか前に浄瑠璃坂の仇討ちというのがあったそうです。標的の家へ押し入るのに徒党を組み火消し装束に身を包んでいたそうで、この辺りを大石らは参考にしたのではないか、とは少し検索すれば散見される意見です。
また敵討ちを果たした後に出頭したのも同じです。もっとも浄瑠璃坂の方は最終的に井伊家召し抱えになりますが、赤穂事件はご存知の通り。あわよくば自分たちもと考えていたのなら…ま、コレも同じ意見の諸兄が多々いらっしゃいますね。
もう一つ考えてみたい浄瑠璃坂の赤穂事件への影響として、周囲の声はどうか?
町人らの赤穂の浪士も当然やるだろう、やらない筈がない、というプレッシャー。また浪士らにしてみれば、仇討ちという一大イベントの登場人物になれるという自己陶酔も有ったんじゃないかしらん?
芥川の「或る日の大石…」などはその辺りを突いているのではないかと思うんですが。

井上ひさし『青葉繁れる』


『青葉繁れる』
文春文庫
平成20年9月7日読了
最初はテンポがとろく感じられ、所詮は昔の小説だ…と思っていたのですが面白く読み終わりました。
何時の時代も冴えないヤロウの青春は似たものかな、とやたらと劇的かつ華やかな他のフィクションと違い共感の一つも感じられたりして。これなら自分が同年代の頃に読んでも楽しめたでしょうね。
その要因は大人がシッカリと描かれているコトではないかと思われます。
しっかりと人物造形が成されており、それがほんの少しのシーンでキッチリと生きています。ラストもなんとなく良い味わいで、あぁモンキー・パンチ辺りが漫画にしてくれないか…無理だな、多分。

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