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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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北杜夫『天井裏の子供たち』


『天井裏の子供たち』
新潮文庫
平成23年9月24日読了
冒頭でスルリとコチラの気を引くとそのまま作者のペースに飲み込まれ、見事なサゲまで一息に進みます。そうは言ってもペースは実にゆったりとしていて急かされる訳では有りません。
展開もまた大袈裟ではないモノの仕掛けに満ちていて、あらっと意外な進行方向に驚きます。そういう意味では表題作の書きだしも見事ですが、「静謐」が素晴らしい。祖母が孫に話を聞かせるというのが主な場面なのですが、昔話を聞くのに不安と興味が半々だった子供の頃と同じ気分になって行きます。内容は大人向けなんですけどね、最後に上手く暗幕を開けますが。
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北原亞以子『妻恋坂』


『妻恋坂』
文春文庫
平成24年4月6日読了
表題作及び収録二作目の「仇討心中」が特に素晴らしかった。無理に起承転結を求めたり感動を強いたりしない辺りが粋で、更に言うと尾形光琳を連想さする雁金屋やら様々な絵師の名前が出てくる辺りも僕のツボで、知識の出し方もこれまた粋であります。
登場する女、また男らは無駄に現代的でなく、無理に時代モノ的に鋳型にはめて居ないのもまた良い。
著者の作品は今まで読んだコトがありませんでしたが勿体無い話と惜しむべきか、いやコレから読めるのを喜ぶべきか?
藤沢周平は好きですが、さて粗方読んでしまうと次のお気に入りが欲しくなるものです。しかし探しても代わりが居る筈もなく、似たような作品を手にしては不満を覚えた経験をされた方も多いのではありますまいか。少なくとも僕はそうであり、本書もその失望覚悟で手にしたのですが、期待以上でした。
なにより藤沢周平ゴッコに自己陶酔していないのが良い。珍しく絶賛してるなぁ、僕。

菊池寛『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』


『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』
菊池寛
新潮文庫
平成23年3月27日読了
確かに面白いのでなるほど当時は一世を風靡した訳だとは思うが、死後に読まれなくなったと言うのも判る気がした。
話は面白いのだがナンとはなしに文章を読む楽しさに欠けている…と言うと偉そうだが。いやつまらなくは無いんですよ、でもねぇ。

マイケル・ギルバートMichaei Gilbert『捕虜収容所の死』Dwath In Captivity


『捕虜収容所の死』Dwath In Captivity
訳:石田善彦
創元推理文庫
平成21年11月7日読了
古き良き時代の名作映画を観たような感じ、というのが最初の読後感です。もちろん好感を持っての感想です。
作者の満足の為に読者に嫌悪感を強いるような悪役も出ず、下品と紙一重(時に行き過ぎが多い)の描写も有りません。まぁこの辺りは執筆が1952年という時代も有るかと思われますが。
また本作の売りの一つであろう「密室トリック」も所謂本格派の愛好家には反則気味でしょうが、逆にリアルで作品全体から浮いておらず妥当に思われます。
時にユーモアに満ちた早い場面展開は現代の読者にも合うでしょう。
ただ第二次大戦についての予備知識がないと少々掴み難い点が有るかと思います…って僕もですがね。
技巧に傾斜しきっていたり過激さに走り過ぎた昨今の作品に疲れた方にはお薦めの作品です。

ドナルド・ギャスキンズ&ウィルトン・アールDonald Gaskins with Wilton Earle『死刑囚ピーウィーの告白 猟奇殺人犯が語る究極の真実』Final Truth The Autobiography of A Serial Killer


『死刑囚ピーウィーの告白 猟奇殺人犯が語る究極の真実』Final Truth The Autobiography of A Serial Killer
訳:滝井田周人
序文:コリン・ウィルソン
扶桑社ノンフィクション
平成22年5月31日読了
アメリカでも屈指の殺人鬼の自伝です。
一言で言うと見事なまでの鬼畜野郎で死刑が一回なんて足りないどころではありません。楽に死なせて良いのかよ?と。
猟奇的な犯行の詳細は端折ってありますが、それでも吐き気がするコト請け合いです…まぁ一般的には。
読み始めはウンザリとする酷い話に過ぎないのですが、困ったコトに中盤以降面白くなり始めます…僕にとっては、ですが。更に言うと逮捕前から死刑確定まではワクワクしたくらいです(露悪的でしょうがホントの話なんだよなぁ)。
読後の収穫としては僕にとっての爆笑コメディ映画『ありふれた事件』や『おれの中の殺人者』の人物描写が如何に真実味が有ったかと再認識出来たコトが有ります。更に言うとエルロイへの違和感の理由も見付かった気がします。
なんだかんだ言って“そういうヤツ”って居るんだなぁ。
“人権派”と自称されている高潔な諸兄はコレを読んでも死刑反対なんて言えますかねぇ。まぁハナから読まないか、読んでも狂信的な輩なら反対するでしょうね。
人格を疑われそうですが面白かったですね、まぁ“こういうヤツ”も居るってコトで。
【関連作品】
『おれの中の殺人者』

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