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守和の観た読んだ観た

上総屋:飯田守和の感想録ブログです。 (リンク先から徐々に転載もしつつ)アレコレと感想を綴っていきたいと思います。

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夏目漱石『道草』


『道草』
岩波文庫
平成23年7月31日読了
まぁ読んでて楽しい本では有りません、一言で言うと親戚ってのは厄介だなで終わってしまいそうですが。
私小説として扱われているそうですが註や解説によるまでも無く、むしろ反省小説と呼びたく思います。趣は異なりますが『坊っちゃん』と同様に過去の自分の行動などで失敗したと思われるコトやらナニやらを作品として昇華しようとしているのじゃないかしらん。その方向が深刻かつ陰気な方に向いているだけで。
なんだかんだ言って読ませるんだからやはり凄いんでしょうなぁ…偉そうな感想ですが。
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中島河太郎『新青年傑作選集Ⅰ・推理編1 犯人よ、お前の名は?』


『新青年傑作選集Ⅰ・推理編1 犯人よ、お前の名は?』
編:中島河太郎
角川文庫
平成23年9月17日読了
なによりも楽しめるのは時代の雰囲気でしょうか。現代では見付けにくくなっている作家の作品も収録されていて、雑誌の雰囲気が伝わって面白いのが収穫でした。出来れば他の巻も読んでみたいところですが難しいだろうなぁ。
一読して思うのは、やはり名の知られた、現在でも読まれている作家は上手い。特に横溝正史「蔵の中」を初めて読みましたが、いや呪術的な磁力からは逃げられませんでした。乱歩とはまた違った握力ですね、より力強いかしらん。

中山兼治『馬券偽装師』


『馬券偽装師』
幻冬舎アウトロー文庫
平成20年9月28日読了
ハズレ馬券に色鉛筆で細工して10億円…と言うだけの話なのですが、非常に面白かったです。
もちろん手順は簡単でも作業は簡単ではなく職人としての技術が卓越していなければ出来ない犯罪で、その辺りの苦心談や道具についての拘り(使っていたのがステッドラーとは…妙に身近に感じたりして)など“その道”に長けた人ならではの面白さに満ちています。
また如何に換金するかの調査振りや逮捕に至る緊迫感など読み応えは充分でした。また浅草から銀座、築地と移る主人公の生活拠点や地方も含めた競馬場や場外馬券場など舞台も多彩で、ハリウッド辺りで映画にしたら当たりそうなんだけどなぁ(日本だとどうしても湿気りそうな気がしちゃって…)?
ひとつだけ残念なのは紙数不足。
本人の筆によるモノなので人柄が感じられたりして良いのですが、やはり本職による書き込みが欲しい気もしたりしました。

中野晴行『球団消滅 幻の優勝チーム・ロビンスと田村駒治郎』


『球団消滅 幻の優勝チーム・ロビンスと田村駒治郎』
ちくま文庫
平成19年5月25日読了
えのきどいちろう氏は解説で「本書の魅力は田村駒治郎の魅力に尽きる」と書いているが首肯しかねます。
大阪船場のぼんちの野球好きが高じてついにプロ野球界に参入、紆余曲折を経てやがて彼がオーナーを勤める松竹ロビンスは初代セントラル・リーグの優勝チームとなる。しかし栄光の時は短く…とコレだけ書いても野球好きには興味津々な内容だと判っていただけると思いますが、実際に読むと全然ワクワクしません。最大の山場であろう2リーグ分裂の経緯については非常に判り辛く、不親切だし。
草創期のプロ野球界にメジャーリーグ張りの経営を持ち込もうとしたり、選手の現役引退後の生活設計を考えたりと発想が現代のファンのようでもあり楽しいんだけどなぁ。
思うに筆者は日本プロ野球の現状に一言言いたくて、それに利用しただけではないか?駒治郎に対して惚れて書いたのではないだろう??などと邪推されます。
そもそも興行自体が目的だったメジャーリーグと広告活動として始まったプロ野球ではオーナーのチームに対する意識が違うのも当然だろうし、長年かけて成長したメジャーリーグを単純に理想的と言われてもなぁ。昔はベーブ・ルースを“売った”球団も有るくらいなのだが?
ホントは野球がそれほど好きではないんじゃないか、と思ったりもして。
知らなかったコトが幾つか有って勉強にはなったんですけどね。
【関連作品】
『魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ』立石泰則
『三原脩の昭和三十五年 「超二流」たちが放ったいちど限りの閃光』富永俊治

中勘助『鳥の話』


『鳥の話』
岩波文庫
平成24年4月29日読了
一つの仕事にあまり長い時間をかけてはイカンのだと学べる作品集。
紹介に惹かれて手に取りましたが、未完成なのがねぇ…残念というか、不満でした。個々の話はさておき、全体の構成が未整理で読んでいてスッキリしないんですよね。思うに大戦を挟んでいたりして気分が乗らなかったのかもしれませんが、それにしても…まぁ予定の作品数に至っていない辺りからして未完なんでひょうが。
個別の話にしても冗長に長く思え、やや退屈。幾つかのテーマは非常に興味深かっただけに惜しい。
面白かったのはキリストの説教の元ネタが鳥たちによる雑談だったりする点で、こういうトボケたエピソードばかりならなぁ…とは個人的な意見ですが。

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