
『エリ子、十六歳の夏』
新潮文庫
平成23年11月10日読了
作品の舞台となった場所にやたらと馴染みが有り、刊行された昭和63年も思い描き易い時期である、とアレコレ思い出しつつ一気に読んだ。家出した孫娘を探す元刑事が、その都度出くわす殺人事件を解決する…というのが大雑把な筋だが、事件そのものが新聞記事にありそうな“リアル”なもので更にテンポが良く惹きつけて離さない。
とにかく誰かにお勧めしたいが、ある程度以上の年代でないと面白さは割り引かれるのではないかしらと残念にも思われる…杞憂かもしれないが、僕自身が発表当時に読んでいたらどうだったか。今ならオッサンだし娘も居ますからね。
作品が完結してかなりの月日が経っている(僕の読了は23年後だ)からか、その後の彼らを想像してしまうのも、作品にハマった証しだろう。最後まで顔を見せてくれないエリ子ももう39歳か40歳である。あれから両親との関係はどうなったのか、今頃は親の跡を継ぎ美容院を経営しているのだろうか?もう子供もいるのかもしれない…と思うと街ですれ違う女性に面影を探してしまいそうだ。
また一番興味深いキャラクターであるキティはどうしたろう?モデルとしてそれなりになったのかもしれないし、もしかしたら玉の輿に乗っているかもしれない。逞しくバーなぞ経営してそうだが。
その後にバブルが弾けてといろいろ有るが彼らが皆、今は小説にならないような平穏無事な生活をしているように願いたくなる。
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