
『城のなかの人』
角川文庫
平成20年4月7日読了
ショートショートが代名詞の作家だけに歴史小説?と首を傾げつつ好奇心で読みました…が、コレが良かった。面白かった。
汗や体臭、総じて生活臭の感じられない文体なのでどうかと思ったのですが、フワフワと生きたような(というと語弊は有るでしょうが個人的には印象が薄いのです)豊臣秀頼を描くにはピッタリでした。物語の進行も具体的な年代ではなく秀頼が何歳の時…としてのも効果的で、フワフワとした現実味に欠ける大阪城内での暮らしや現実や政治への認識の甘さがリアルに漂ってきます。
ちなみに本書は短編集で他に4編入っているのですが、ドレも長過ぎるショートショートのようでもあり、表題作がやはり一番かと思います。ただし実在の人物を扱った『正雪と弟子』のはめ込み方と『はんぱもの維新』の人物評は大上段に構えた歴史小説家には書き得ないスタンスで面白いんですけどね。
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